それは今年の1月の終わりの事。朝テーブルには1冊の本が無造作に置かれていた。パパが読み終えて通勤カバンから出した物だ。
「今何読んでるんだろ?」そんなちょっとした好奇心を出したのが間違いの始まりだった。
これが北方謙三水滸伝との出会いである。
今にして思えば「読めばKazumiもハマるだろう。ここに置いとくか。」とパパは思ったのではなかろうか。まんまとハメられた・・。
以降、夫婦の会話は子供を語るのと同じ位の熱さと長さを持って水滸伝に割かれる事となる。ヤレヤレ、変な夫婦だ。
北方謙三の水滸伝は全19冊。膨大な量だ。それだけでも大変なのに、更にその後、水滸伝読本1冊、三国志13冊、楊家将4冊、楊令伝4冊を読みきるのである。2ヶ月で41冊。それは3日で2冊と言うペースだ。
まだ拓が幼稚園に行く前なので、もちろん昼間に時間はない。夜二人を寝付かせる時に一緒に寝てしまう私は、夜中に起き出して、暗がりの中キャンプ用のヘッドライトを頭に付け読みふけるのだった。ちょっと怖い図だ。睡眠不足は慢性的に続く。
何がこんなにも私を惹き付けたのか。つらつらと書いてみたいと思う。
まずは命の危機迫る男の格好良さだろうか。
水滸伝は中国が宋の代の末期。1200年頃の話だ。この頃は、まず力・技の強さこそ敬服される。だから男は武術に励む。それが究極に達すると体から殺気を立ち上らせて他を威圧するらしいのだ。
また他の力として、姿が見える前から人の気配を感じると言うのもある。「山の奥からまがまがしさが迫ってきている。」みたいな感じで・・。
平和な現代人が退化させた能力。でもそれで良いのだ。現代の男性が皆殺気を立ち上らせていたら生きにくくてしょうがない。でも格好良いではないか!単純にすごいと思ってしまうのだった。
パパと水滸伝について語っていて面白い事に気付いた。男は男目線で読み、女は女目線で読むと言う事だ。
パパはハッキリこう言った。
「物語の面白さに惹かれたと言うよりは、登場人物の凄さに興味があるのかな。読めば読む程打ちのめされたよ。俺はこんなに果敢に闘っているか?俺にはこんなに人を惹き付ける魅力はあるのか?同じ男として俺はどうなんだ?そんな事ばかり考えて読んでるよ。」
これは、私にも半分頷ける。確かに登場人物の凄さには圧倒されていくのだ。
でもそこからは違う。女はあれこれ考えない。ただ惚れるだけだ。
戦乱の世なら男女の役割分担は明確だ。女は我が身を守ってくれる男に従う。だから男女平等でない部分も多かっただろう。
でも男は女無しでは生きられない。水滸伝にも女の為だけに闘い死んでいく男達が何人も出てくる。
その後、私が興味を持ったのは、「中国の歴史は実はどうだったのか?」と言う事だ。と言う事で中国の歴史書を借りて読んでみたりした。続いて堺屋太一のチンギス・ハンも読破した。
更に、吉川英治が翻訳した水滸伝を読破し、今は同じく吉川の三国志を読んでいる。
そして、パパと一緒に中国に旅すると言う夢が出来た。梁山泊があったとされる梁山湖は干上がってしまいもう無いのだが、水滸伝や三国志の勇士達や、チンギスハンが駆け回った地を回ってみたい。
オリンピックの今年、こんなに中国にハマったのは偶然なのだろうか。
とにかく、水滸伝は何度も読み返したいと思っている。実は今2巡目だ。今回はゆっくりと味わいながら読んでいる。
それにしても、心踊らせて読む本があるのは久しぶりだった。何も考えず没頭する幸せを感じた。出来れば子供に構わず、時間を気にせず読み続けたかったのが本音だ。
まぁ、幼稚園グッズは後回しになり、充分影響はあった訳だが。。。
北方の子細な調査と、天才的筆力と、7年に及ぶ執筆の執念に感服。そしてファンの一人としてただただ感謝を・・・。
子育てしながら、本をそんなに読めるとは!Kazumiさんのエネルギーが羨ましいです!
本は自分の知らない世界に導いてくれる、とても素晴らしい手段ではあるけれど、目の前のことでいっぱいいっぱいな自分。反省します。
こんなに夢中になれる本に出会え、またご主人とそれを共有できるなんて、素敵ですね。
キャンプにせよ、読書にせよ、夫婦が同じ趣味を共有していて、お二人は本当にお似合いですね!
投稿情報: ちっちか | 2008-06-22 21:42
>ちっちかさん
本って、読みたい時期に波がありますよね~。一旦波が来ると、すごくのめりこんで本ばかり読んじゃって。。でも波が引くとしばーーーらく手に取らず。
まして、忙しい今の時期に、どうしてこんなビッグウェーブが来ちゃったのかと、自分でもコントロールがきかず困っちゃいましたよ!
また、ゆーっくり本が読める日が早く来ると良いですよね☆
ちなみに、うちのパパは私なんかよりずっと本の虫なのです。。。
投稿情報: Kazumi | 2008-06-25 11:43