山登りを始めてもうすぐ10ヶ月。たかだか10ヶ月の私達一家にとって、何十年も登っている先輩方から学ぶ事は多い。また私達より若い世代の人がその体力と気力をフル活用して世界へ飛び出していく姿はまぶしい。
そんな中から感動をもらった方々を3組紹介したい。
【毎日1山で9000日 東浦奈良男さん】
三重県伊勢市に住む84歳のおじいちゃん。定年の次の日から毎日休まず登山を続け、25年掛けて9000日に達したそうだ。
9月号の『山と渓谷』でその記事を読み、号泣してしまった。
定年前は3人のお子さんを連れて毎週日曜日に登っていたそうだ。お子さん達は皆嫌がっていたらしい。拓やみゆが「たまには山じゃなくてディズニーランドとかも行きたい~」と文句を言う姿が目に浮かぶ。そう遠くない未来に必ずそんな日は訪れるだろう。
しかし東浦さんは記事の中で述べている。「子供達には、ただただ丈夫な体になって欲しかった」
その思いはきちんと伝わっている。「嫌だったが、今のこの丈夫な体は父が山登りに連れ出してくれたからです。」とは長男氏のコメントだ。
今、奈良男さんは病気で入院中の奥さんの為に登っている。
「ダイヤモンドを買ってやる金はないが、1万日登り続けて『あー、この人と結婚して良かった』と思ってもらいたい」
なんと屈強な心か。なんと優しい心なのか。
【世界最高峰を単独で目指す若者 栗城史多さん】
テレビで紹介されていて知った栗城史多(くりきのぶかず)さん。27歳。
身長160cmと小柄な彼は、他のどんなスポーツをやっても鳴かず飛ばずだった。
それが大学で山岳部に入部後、メキメキと頭角を表し、一気に日本でも有数のアルピニストに駆け上った。
彼の登頂スタイルはちょっと変わっている。単独・無酸素とここまでは他にもいるのだが、スゴイのは自身をビデオ撮影しながら登る事だ。
カメラを設置してその前を歩き、戻ってカメラを回収してまた進む。撮った映像をインターネットでベースキャンプからすぐに配信している。
彼はもう5年余り、肉と酒を口にしていないそうだ。山登りの理想の体つくりの為に一番楽しいであろう20代にそこまでストイックに生きられる彼もまた屈強な精神の持ち主である。
【子連れ百名山家族】
三姉妹を連れて日本百名山を中心に登山を続ける家族が関西にいる。その名も子連れ百名山家族(我が家で勝手にそう呼んでいるだけ・・)。
子供が2歳になるとオンブから歩きになる。そして、ものすごい山に登り始める。
日本で2番目に高い北岳にも、私達がその麓までしか行けなかった白馬岳も2歳で登っている。
子供も大変だが、その手をひいて登る、あるいは5人分の重い荷物を担いで登るご両親もどんなに大変だっただろうかとただただ驚愕し、感心するばかりだ。
今では三姉妹はそれぞれ中学生・小学生に成長している。
家族で旅をし、そこにある山に登る。その単純な過程の中で、家族は何を話し何を思うのだろうか。何はともあれ、そこには強い絆が生まれる事は間違いない。
3組はそれぞれ違うスタイルで違う目的を持って山登りをしている。
しかし、山に全力を掛ける人々には一環したものを感じる。
それは、生きていく力強さみたいなものを持っている事。大自然を相手にするだけに、時には風雨の中を歩く事もある。足止めされて計画が狂う事もある。圧倒的な自然の前に自分の力の無さを実感せざるを得ないのだ。
だからこそ、強くなろうとする。真摯な気持ちになろうとする。たゆまぬ努力を続ける。
今の我が家は、とりあえず「駐車場があって、拓が登れそうで、近くにキャンプ場と温泉のある低い山」を見つけて、遮二無二登っている。
子供達との登山はきっと期間限定だ。だから、子供と過ごせる限られた時間を宝物として残したい。大切に大切に愛しむ気持ちで。遠からずパパと二人で仲良くノンビリ登る日がやってくるはずだから・・・。
いつか、我が家も何か目的を見出すだろうか?強さを身につけていけるだろうか?
それを楽しみにしつつ、目の前のトレーニングと低~い山登りに勤しみたいと思う。
最近のコメント